2023年03月29日

ある大学院生のスタイリッシュな研究生活

 5年と3か月住んだアパートを退去した。このアパートの良いところは、なんといっても月27000円という家賃の安さである*1。あと、研究室に近い。
 時に、自分の部屋の前の庭的なところにタバコの吸い殻が大量に落ちていたり、トイレの水が止まらなかったり、カラスが燃えるごみを漁って家の前がひどい有様になったりするが、それについては落ち込まず粛々と対処または放置する。そういえば以前、アパートの前の排水溝に落ちて怪我をしたこともあった。ジョギングに行こうとした際、排水溝を塞いでいる蓋が壊れているのに気づかずに走り出し、排水溝に右足が落ちてしまったのだ。同じような人間を生み出してはならぬと、すぐに管理会社に電話、注意を促す標識を作成し、穴の近くに置いた。
 このようにお世辞にも良い環境とは言えない家だったが、この家の良さはなんといっても月27000円という家賃の安さである。何度だって言おう、この家の良さは月27000円という家賃の安さである。特に学振に採択されるまでの3年間(修士2年+博士課程1年間)は、この家賃の安さのおかげで、当座の生活費を奨学金で間に合わせることができた。そのため、積みあがる奨学金返済額に震えながらも(学振に採択されたときは心底安心した)、バイトもせず研究ばかりして暮らすことができた*2。
 こう言うと、安アパートに住んで借金をつくってでも研究し続けるなんて、よっぽど研究がお好きなんですね、研究ってそんなに楽しいんですか?と思われるかもしれない。どうだろうか、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。あくまで自分にとってはだが、時間で考えると、楽しさを感じる時間より、不安を感じている時間の方が長いように感じる。ちゃんと結果が解釈できるような実験を組めているのか、それを問題なく実行できているのか、出てきた結果をちゃんと解釈できているのか、その解釈をちゃんと他人に伝えられているのか、ちゃんと論文や申請書が書けるようになるのか、あれ、そもそもの方針これであっている?このまま進んで大丈夫?、これ面白い?なんか当たり前のことしか言ってなくない?、先生方を初めとする研究室のメンバーとちゃんとコミュニケーションをとれているのか、研究室で人間として普通の振る舞いができているだろうか、そもそも普通ってなんだ、この言い方・メールの文面で大丈夫?、何が問題か把握できてる?、最終的にこういったことが全然できてなくて消えてなくなりたい、などなど。いちいち悩んで不安でどうにかしたいけど、きらりと光る研究・思考のセンスや高性能な頭脳は持っていないので、ぐるぐると考えて、他の人にも聞きながら助けてもらいながらやってみて、上手いこと行かなくて落ち込んだりしながら、また考えてやってみて、というくらいしか状態を動かす方法は思いつかない。苦しい時間が長いことの方が多い。でも、辞めたいとか、研究室に行きたくないと思ったことは一度もなかったように思う。だから、研究が好きではあるような気がしている(論理破綻してない?大丈夫?)*3。根底には、分からないことが分かるようになりたい、面白くて良い研究がしたいという思いがあるような気がする(それがどこから来るのかはまだ分からないが)。研究が得意な自覚や研究の世界に向いている自信は全くないが、あるもので戦っていくしかないというある種の諦めのもと、それでも前向きに研究を続けて行きたいと思う。

 これまでご指導くださいました先生方、研究室のメンバーの皆様、論文共著者の皆様、気にかけてくださった皆様、助けてくださった皆様、本当にありがとうございました。お陰様で(挨拶的なものではなく本当に)、無事学位を取得することが出来ました。これからもどうかよろしくお願いします。

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学生からの送別の品である、かりんとうが入っていた缶(美味でした)。世界の名画を缶にあしらったシリーズ*4のようで、選択の余地がある中でムンクの「叫び」がチョイスされたのはなぜだろうか。特に意味はないかもしれない。

*1 もっと安い物件はあるが、立地や住環境も少しは考慮した。
*2 奨学金がなければ大学院に行く選択肢も生まれなかったと思うので、とても感謝をしています。一方で、返済義務のある奨学金を抱えてでもやること(やりたいと思うこと)が良いとか、金銭を上回るようなやりがいがあるとか、そういうことを言いたいわけでは無いです。金銭の不安は無いほうがいい、そういった不安を味わうことなく勉強・研究できた方が少なくとも本人や研究業界にとっては良いのではないだろうか、と自分は考えます。社会全体にとってどうかという点については、考える材料が今の自分にはまだ不足しているので、述べません。
*3 今後も好きでいたい。
*4 https://www.azabukarinto.com/html/page27.html
posted by 自由人 at 17:49| Comment(0) | 日記

2023年03月26日

2023年3月卒業生

糸状菌相互応答講座ラボブログの数少ない愛好家の皆様、いかがお過ごしでしょうか?

こんにちは、浦山です。
久しくブログが更新されず、ハラハラドキドキされたかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
私も、ハラハラしていました。

さて、3月24日は筑波大学の卒業式で、うちのラボからも5名の卒業生(うち3名は社会へ)がいました。
寄付講座として2017年10月に設置されてから3度目の卒業生送りとなりました。

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雨予報だったけどギリギリセーフでよかったね。

そして恒例の送る会では、Kさんが自作されたChibaさん置物(ごめん、名前忘れた)が話題に!!
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バットを振っているChibaさん、腕を組んでいるChibaさん、の2体がありました。
浦山もさみしかろうというご配慮の下、バットのほうを個人的に頂きました。

ラボマネージャーの方々(先日卒業されたOさんもお菓子を持ってきてくれました)が作ってくれたおにぎりや鯛焼き(これは一期生からの贈り物である鯛焼き器で)、ちらし寿司もおなか一杯頂きました。
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ご卒業、おめでとうございます☆

※卒業生や、長らく更新されていなかった間の話題は追々書く予定です※
posted by 自由人 at 12:58| Comment(0) | 日記